2013年 2月
なばな(菜花)
暦の上では春とはいうもののまだまだ寒い日が続きますが、今月は今が旬の「なばな」を紹介します。なばなは字のとおり、菜の花のことです。菜の花といえば春に畑一面に咲く黄色い花を思い浮かべる方も多いと思いますが、食用としてのなばなは、写真のとおり黄色い花をつける前のつぼみと茎や葉の部分を食べます。早春にふさわしい鮮やかな緑色と、ほろ苦い食味が人気で、香川特産の春野菜のひとつとなっています。
なばなは古くから世界各地で栽培されており、日本でも弥生時代から栽培されていた記録が残っているとのことですが、そのほとんどが油を採るためのものでした。食用としての歴史は意外に新しく、油採取用のものから品種改良が重ねられ、香川県内で今のような形で栽培されるようになったのは昭和60年ごろからです。
香川県では「春一番」や、平成13年に新しく種苗登録された「瀬戸の春」などオリジナルの優良品種を開発するなど、普及に力を入れてきました。今では香川県内はもとより、関東、関西方面へも多く出荷する特産地となっています。
なばなは、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、ブロッコリーなどと同じくアブラナ科に属し、これらと同様に栄養価の高い緑黄色野菜です。ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富にバランスよく含まれており、特にビタミンCの含有量は野菜の中でもトップクラスです。ビタミンCは抗酸化作用が高く、体の免疫力を高め風邪の予防などに効果が期待できると共に、コラーゲンの育成を促進するなど美肌効果もあります。また、他のアブラナ科の野菜にも含まれている辛み成分「アリルイソチオシアネート」には、発ガン性物質の働きを抑える働きがあると言われています。
調理方法は、和え物、煮びたし、炒め物、吸い物、てんぷら、浅漬けなどいろいろあります。料理屋などでは煮物などのいろどりとして、この時期よく使われます。良いなばなを選ぶには、まず、花が開いておらず、全体に色の濃いものをお求めください。茎の極端に太いものや、細いものは避けた方が無難です。豊富なビタミンCは水溶性なので、調理する時は、茹ですぎたり、水にさらしすぎたりしないようにしてください。
今年は寒さなどの影響で例年より入荷が少なめとなっていますが、2月から3月が最も多く出回る時期ですので、今が旬の春の味覚を召し上がってください。