高松青果株式会社

2014 5

新豆(この時期に出回る緑のそら豆)

今では1年を通してスーパーなどの店頭で見られる空豆ですが、香川では5月が最も多く出回る旬の時期となっています。空豆は莢(さや)が天に向かって伸びることから「空豆」、また蚕の繭に似ているので「蚕豆」とも書きます。今月は、その緑鮮やかな旬の食材「新豆」(香川ではこの時期に出回る緑の空豆をこう呼びます。)を紹介します。
空豆栽培の歴史は非常に古く、5,000年ほど前には地中海沿岸地域で栽培されていたとのことです。そこから中国を経由して、日本には奈良時代に伝わり、香川での栽培は明治以降盛んになりました。空豆栽培は良い土作りにもなるということで、水田の後作、麦の間作としても盛んに栽培されてきました。
空豆は植物性タンパク質が豊富で、糖質も含まれており、ビタミンB1、B2、Cも多く含まれており、他にもカリウム、カルシウムなどのミネラルや、食物繊維も多く含む栄養のバランスがとれた健康野菜です。
香川の代表的な郷土料理のひとつに「さわらの押し抜き寿司」があります。香川のこの時期の旬の魚、鰆(さわら)を使った寿司ですが、いろどりとして緑鮮やかな旬の新豆が必ず添えられます。もうひとつ空豆を使った讃岐の郷土料理として「しょうゆ豆」が有名です。こちらは未成熟の新豆ではなく、成熟し皮も実の部分も固くなった空豆が使われます。その豆を乾煎りし、醤油、砂糖、みりんなどで味付けした調味液に漬け込んで作ります。こちらは、みやげ物店やスーパーなどでも1年中販売されています。
今、出回っている新豆は鮮度が命です。特に、サヤから出してしまうと水分が蒸発して品質と食味が急速に落ちます。お買い上げ後はできるだけ早く調理してください。サヤが緑色でツヤのあるもの、サヤを押さえた時に中の綿部分がパンパンに詰まっている感触のもの、これが新鮮な新豆を選ぶポイントです。食べ方は塩茹でがもっとも一般的でしょうが、その他にも炒め物、和風の煮込み料理、マヨネーズなどで和えてサラダとしてもおいしく、工夫次第で色々な料理に使えます。かために茹でて冷凍しておくと長期保存が可能です。
今年の新豆の作柄は、天候の影響により生育がやや遅れ気味ではありますが、作柄は例年並みとなるようです。旬の時期は短いので、香川県産の新豆をぜひこの時期に召し上がってください。

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