高松青果株式会社

2021 3

しらぬひ

形はポンと出てユニークで肌はごつごつし、強い甘味とほどよい酸味の柑橘です。手でむきやすく、みかんのように薄皮ごと食べることが出来ます。とても人気の品種で、柑橘類全体の生産量が減っている中、しらぬひの生産量は年々増えています。

【実を育てる「袋掛け」】
坂出市のしらぬひの生産者にお話を伺ったところ、一番大変な作業は袋掛け作業だそうです。袋掛けは、風で実が枝やトゲに当たって傷ができるのを予防するためで、11月中旬に行います。1玉1玉を手作業でするので手間がかかりますが、これをしないと収穫適期である1~2月まで実をきれいなままで持たせることができません。ある年、1か月遅れの12月中旬ごろに行おうとしたところ、既にスレ傷がたくさんついていたそうです。だからといって11月に収穫したのではおいしくありません。袋掛けをして実を樹上で年越しさせることで糖度が高まり、おいしい実になるのです。

【デコポンとしらぬひの違いは流通経路】
我々プロのセリ人でも、しらぬひとデコポンを見分けることはできません。というのも、この名称の違いは「農協で承認を受けているかどうか」です。同じ生産者が作った全く同じしらぬひでも、農協に出荷して承認を受けると「デコポン」と「しらぬひ」のどちらの名称でも使えます。対して、農協を通さずに生産者が自分で箱詰めして卸売市場へ出荷した場合はしらぬひの名称しか使えません。その理由は、『しらぬひ』は品種登録の名称、そして『デコポン』は香川県農協など日園連参加の団体が独自に使用している登録商標だからです。
デコポンという名称があまりにも有名になりすぎたためか、正式な品種名はしらぬひだということをご存知でない方が大勢いらっしゃるようです。ただ、近年はしらぬひの名称も知名度が上がっており、デコポンと呼べるものも全部まとめてしらぬひで売場づくりをしている店もあるようです。また、今年はデコポンが初めて熊本県から出荷されてから30周年の節目を迎えます。3月が入荷数量のピークになりますが、今シーズンは平年よりも糖度が高くたいへんおいしく仕上がっています。ぜひご賞味ください!

果実部 福本篤史

一覧に戻る