2015年 2月
わけぎ(分葱)
暦の上ではもう春ですが、まだまだ寒さが続いています。今月は春が旬で、桃の節句の頃が最もおいしいといわれている「わけぎ(分葱)」を紹介します。
まず、ネギとワケギは一見よく似ていますが、皆さんはその違いをご存知でしょうか?ワケギはネギとエシャロット(タマネギの一種)を交雑したもので、ネギのように種から栽培するのではなく、球根が分球したものを植えて栽培します。ネギよりも柔らかく、またネギほどの刺激臭はなく、特有の香りと風味と食感が特徴の野菜です。
ワケギは、瀬戸内地方や九州地方など主に西日本で栽培されており、香川県内でも各地で、特に高松市岡本町近辺などで多く栽培されています。香川県産ワケギは、主に9月に植え付けし、10月から11月頃に土寄せを2、3回行い、12月からはトンネル栽培するため他県産に比べ太く、白い部分が多く甘くやわらかいのが特徴となっています。
香川の郷土料理のひとつ「わけぎあえ」は、湯がいたワケギと、タコや適当な大きさに切った油揚げ、春が旬のマテ貝やアサリなどを白味噌であえたものです。古くから伝わる家庭料理で、香川では春先の祝いの席などには必ず入っていると言ってもいい春の定番料理です。このわけぎあえには白い部分が多くやわらかい香川産の方が向いているため、地元スーパーのバイヤーなどからは、他県産のワケギを店頭に並べてもあまり売れないといった声を聞きます。
2月から3月にかけて出荷のピークを向かえるこれからが旬のワケギです。香川伝統のわけぎあえはもちろんのこと、それ以外にも韓国料理のチヂミなどにも使われ、パスタや炒め物などにも意外と合うようですので、いろいろな食べ方にもチャレンジしてみてください。