2014年 6月
サクランボ
今回は6月に旬を向かえるサクランボについてご紹介します。
サクランボは「桜桃(おうとう)」とも呼ばれるとおり、桜の実のことです。日本でのサクランボの栽培は平安時代には記録されていたとのことですが、現在のようなおいしい食用としてのサクランボの栽培は、明治時代初期にアメリカやヨーロッパから今のものに近い品種が導入されて始まりました。その後、山形県などで品種改良を重ね普及していきました。
今では、全国のサクランボの生産量の約75パーセントは山形県産です。他には北海道・秋田・青森・山梨などが主な産地です。当社の取扱量は山形県産が99%以上で、本来は寒さの厳しい地域の果物ですが、残り1%は香川県内の数軒の農家からの入荷となっています。同じ地域が特産のリンゴと比べると、面積あたりの収穫量はたった5分の1程度しかありません。また、サクランボは実が着色してから雨にあたると裂果しやすくなるので、今ではそのほとんどがハウスなどの雨よけ栽培となっており、育成や収穫、選別にも大変な手間がかかるため、1kgあたりの値段が最も高い果実のひとつとなっています。
現在、最も多く流通している品種は「佐藤錦」で、当社でも取扱量は全体の8割を占める一番人気の品種です。佐藤錦以外の品種としては、佐藤錦が出る前にいち早く入荷する「紅さやか」や、佐藤錦にも負けない食味の「紅秀峰」や「香夏錦」なども人気を持っています。
この時期、当社の果実売場には、毎日山形から冷蔵トラック便で運ばれたサクランボが出荷者ごとに並べられます。最盛期にはパック入りや1kg箱入りのものがずらーっと売場に5、6列並ぶようになります。サクランボのセリは、売り手の私たち卸と買い手の買受さんたちが並べられた品物にそって、移動しながらセリをしていく「移動ゼリ」という方法で販売していきます。その白熱した光景は、このサクランボの時期だけの当社の初夏の風物詩と言えるかもしれません。
サクランボは大変傷みやすい果物ですので、購入後は早めにお召し上がりください。選ぶ際には、果皮にハリがあり色の鮮やかなものを選びましょう。軸が緑色をしたものがより新鮮で、果皮が黒ずんでいたり斑点があるものは避けましょう。
サクランボと聞くと、皆さんは常に高価なイメージを持っていることでしょう。しかし、6月中旬以降になると高松市場にもかなりの量が入荷するようになり、比較的お買い求めやすい価格になってきます。旬の時期が短い山形産サクランボですので、ぜひこの時期にお召し上がりください。また、出回る数量は少ないですが、山形産より早めに出荷される香川産のサクランボも店頭で見かけた際には、ぜひご購入、お召し上がりください。