2016年 9月
柿 太秋(たいしゅう)
太秋は1994年に品種登録された柿で、当社でも年々入荷量が増えている品種です。実はこの柿、ある2つの特徴から革命的な品種として注目されています。
特徴1.常識が変わる!?青くても食べられる柿
「さるかに合戦」の昔話でも印象的なように、青い柿は通常は渋くて食べられません。ところが、太秋は果皮に青色が残る状態でも食べることができます。その秘密は、渋ぬけの早さにあります。太秋は渋がぬけるのが非常に早いため、赤く色づく前に食べることができるのです。そのため香川県内では9月上旬という、すべての柿の品種の中でもいち早く出荷されます。
特徴2.食べてびっくり!サクサクの歯ごたえ
柿は収穫後、成熟が進むにつれてだんだんやわらくなります。これを軟化といい、太秋を含めたどの柿でも見られる現象です。通常、柿は成熟具合が同じであれば食感はどの柿もよく似ているのですが、実が硬いときの太秋の食感は違います。通常の柿のモグモグの歯ごたえではなく、リンゴや梨に近いサクサクの歯ごたえなのです。実際に、皮をむいて一口サイズにした状態で試食をしてもらうと、『おいしい梨ですね』と勘違いした返事がくることもありました。この不思議な食感が大変新鮮で、テレビ番組にも「どんな柿嫌いでも絶対に食べられる柿」という言葉で取り上げられたこともあるほどです。
栽培の難しい品種
太秋は近年生産者が増えてきましたが、その理由は果実の特徴以外にもあります。柿の主力品種の富有柿の収穫時期は11月上旬~12月中旬ですが、柿の生産者にとってはこの時期が一番忙しい時期です。対して、太秋の収穫時期は9月上旬~10月中旬頃と早く、生産者にとっては忙しい時期をずらせるというメリットがあるのです。
ただメリットだけではありません。太秋の木1本当たりの収穫量は、10年~15年樹齢の木で約100玉~150玉程度です。これは富有柿の約7割~半分程度しかなく、柿としては大変収量の少ない品種です。そして木は風に弱く、強い風で折れてしまうこともあります。栽培は難しく、生産者の苦労は多いようです。
そんな品種「太秋」は、10月中旬頃まで出荷されます。まだ召し上がったことのない方は、ぜひ一度ご賞味ください。
果実部 福本篤史