高松青果株式会社

2018 1

青島みかん

 温州みかんは、出荷時期によって、大きく3系統に分けられます。極早生温州は9月から出荷が始まり、最も流通量の多い早生温州は、11月、12月が出荷のピークとなります。普通温州(晩生)は、12月中旬から出荷が始まり、年明けまで続きます。
今回は、晩生品種の中でも香川県で流通量の多い青島温州みかん(以下 青島みかん)について、消費者視点ではなく流通業者としての視点から特徴をご紹介します。

【出荷ピークが前倒しに変化】
 高松市場の青島みかんの入荷時期は、ここ10年で大きく変わりました。約10年前は、青島みかんの入荷ピークは2月~3月だったのに対し、近年は1か月早い1~2月に変わっています。青島みかんの入荷が前倒しになった理由として、天候による食味(酸抜け)の変化が伺えます。青島みかんは、収穫時は酸が強く一定期間を貯蔵庫で貯蔵してから酸が抜けてきたときに出荷する品種です。近年は、温暖化の影響で全体的に酸抜けが良く、1月でも糖と酸のバランスがちょうど良くなってきたのです。また、2月~3月は「せとか」や「しらぬひ」などの競合する柑橘の生産も増えてきています。柑橘全体の流通量のバランスも、前倒しの理由のひとつ考えられます。

【食味のよい青島みかんが当社に集まる理由】
 外見・食味・箱やパッケージデザイン・出荷時期・出荷ペース・出荷ロットなど、果実の評価ポイントはたくさんありますが、みかんを評価する一番のポイントは何でしょうか?答えはもちろん「食味」です。みかんの食味は、当然ながら各生産者によって十人十色です。また、同じ生産者でも、品種が変わったり、園地が違ったり、貯蔵期間によって毎回味が変わってきます。どれがおいしいみかんなのか、当社のお客さんである買受人は常に食味を気にされています。
 さて、当社の個選出荷のみかんは、食味重視で評価をしてもらうためにセリ前にあることを行っています。それが、「試食」です。その日に入荷したみかんを生産者ごとランダムに1箱を開けて、買受人に試食をしてもらっています。試食と聞くとうらやましいと思われるかもしれません。しかし、入荷が多い日と寒い日が重なると、1人で何十個もの冷たいみかんの味を確認しなければならず、なかなか大変かつ責任重大なのです。
 また、買受人によって味の好みは様々ですが、買受人の評価をより反映しやすくしているのが、当社のセリの特徴である「黒板入札セリ※」という方法です。このセリ方法では、他人の評価にかかわらず、その買受人自身の評価を相場に反映することができるのです。「おいしいみかんは評価が高くなる」仕組みがあるからこそ、生産者は食味が良い商品を作ることを重点におくことができ、おいしいみかんなら当市場に安心して出荷することができるのです。
 今年も酸抜けがよく、品質は上々です。ぜひご賞味ください。

果実部 福本篤史

※「高松市公式HPセリの仕組みを知ろう」では、一発セリとして紹介されています。
  http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/10424.html

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